インプラントができない人・できる人の条件とは
「私でもインプラント治療は受けられますか?」という質問をよく受けます。実は、誰でも受けられるわけではないんです。今日は、その条件についてお話しします。
基本的な条件
まず、成長期が終わっていることが前提です。顎の骨がまだ成長している時期にインプラントを入れてしまうと、位置がずれてしまう可能性があるからです。
目安としては、18歳以上。ただし個人差があるので、実際には骨の成長が止まっているか確認します。
上限の年齢制限は基本的にありません。70代、80代の方でも、全身状態が良好であれば治療可能です。
骨の条件
インプラントを支えるだけの骨が必要です。
具体的には、高さと厚みがある程度必要です。CT撮影で詳しく調べますが、骨が少ない場合は骨造成という処置で骨を増やすこともできます。
骨の質も重要です。骨粗鬆症が進んでいる場合、慎重に判断する必要があります。
全身状態の条件
いくつか注意が必要な全身疾患があります。
糖尿病 :コントロールされていれば大丈夫ですが、血糖値が高い状態だと感染リスクが上がります。HbA1cが7%以下が目安です。
高血圧 :こちらもコントロールされていれば問題ありません。ただし、手術中の血圧管理が必要なので、事前に内科の先生と相談することもあります。
心臓病 :心筋梗塞や狭心症の既往がある方、ペースメーカーを入れている方などは、主治医と相談しながら慎重に進めます。
骨粗鬆症 :特に、ビスフォスフォネート系の薬を飲んでいる方は要注意です。骨壊死のリスクがあるため、休薬が必要な場合もあります。
できない、または難しいケース
正直に言うと、以下のような場合は治療が難しいです。
重度の糖尿病 でコントロールが悪い場合。まずは糖尿病の治療を優先していただきます。
放射線治療 を顎に受けた方。骨の治癒力が低下しているため、インプラントと骨の結合が難しいです。
重度の骨粗鬆症 で、骨がスカスカになっている場合。インプラントを支えられません。
重い歯周病 が進行中の場合。まず歯周病の治療を終わらせてから、インプラント治療に進みます。
喫煙 :絶対にできないわけではないですが、成功率が下がります。できれば禁煙してから治療を受けていただきたいです。
相対的な条件
「できないわけではないけど、工夫が必要」というケースもあります。
骨が少ない :骨造成で対応できます。サイナスリフト、ソケットリフト、GBR法など、いくつかの方法があります。
歯ぎしり・食いしばり :ナイトガードで対応します。
金属アレルギー :チタンアレルギーは極めて稀ですが、心配な方はアレルギーテストを受けることもできます。ジルコニアインプラントという選択肢もあります。
年齢について
「もう歳だから無理かな」と思っている方、意外と大丈夫です。
実際、70代、80代の方も治療を受けられています。大切なのは年齢ではなく、全身状態です。
むしろ、「人生100年時代」と言われる今、60代、70代ならまだまだ20年、30年先があります。その期間をしっかり咬んで、美味しく食事ができることの価値は大きいと思います。
妊娠中の方
妊娠中は避けた方がいいです。
レントゲン撮影や麻酔、薬の使用など、胎児への影響を考えると、出産後に治療を始めることをお勧めします。
判断は個別に
結局のところ、「できるかどうか」は個別に判断する必要があります。
同じ糖尿病でも、コントロールの状態によって判断が変わります。同じ高齢者でも、元気な方もいれば、全身状態が良くない方もいます。
だから、「私の場合はどうなんだろう?」と思ったら、まず相談に来てください。
実際にお口の中を拝見して、レントゲンやCTを撮って、全身状態を確認して。それから、治療が可能かどうか、どんな工夫が必要か、お話しします。
諦めないで
「年齢的に無理かな」「持病があるから無理かな」と、最初から諦めている方もいます。
でも、実際に診てみると、意外と治療できることも多いんです。あるいは、今は難しくても、準備をすれば可能になることもあります。
まずは一度、相談してみてください。一緒に最善の方法を考えましょう。